適性検査で実施される主な問題
新卒の人材採用や採用後の職種や部署配属をはじめ、管理職採用や人材マネジメントにおいて実施される適性検査の問題には多彩な種類があります。
それぞれの適性検査や問題ごとに、利用目的が設定されている場合やターゲット層や対象者が定められているケースが少なくありません。
たとえば、新卒採用向けや中途採用向け、管理職の選抜向け、事務職や営業職などそれぞれの職種に適するかの選抜向けなどがあります。
ここでは広く用いられている適性検査やその問題の主なものをご紹介していきます。
心理状態や性格診断のための問題
心理テストは心理学的な手法に基づいて開発されており、もともとは精神障害の診断に用いる医療機関での臨床用テストとして限定的に用いられてきましたが、最近では近年、企業の職場においても問題となっているメンタルヘルスの状態を図る手段として用いられることもあります。
最近はゆとり教育で育った新人世代にストレス耐性がなく、すぐに離職してしまうことが問題になっていることやメンタルヘルスを病んで休職や自殺などに追い込まれ企業の責任が問われることも多いので、こうしたテストの重要性が高まっています。
パーソナリティテストは個人の能力を含むパーソナリティを測定する問題構成となっており、性格的側面の判断に適しており、組織人としての適性や特定の仕事や職場にマッチするかなどを図る1つの指標にも用いることができるものです。
職種の適性を図る問題
職種や向いている仕事などを図る問題は多彩にあり、1つに限定せず、多彩な角度の問題を複合的に構成して分析する手法をとるのが一般的です。
能力テストや学力テスト、知能テストは知識・学力を測定する問題で汎用的なタイプから、社会人としてのコミュニケーション力があるかなどを図る適性検査の問題の1つとして利用され、数的処理、言語的処理、論理的思考などの問題で構成されるのが一般的といえるでしょう。
興味テストは複数の職業に対する興味の程度を測定する問題で構成され、この問題に回答することで、どのような仕事や職種に向いているかを判断することができるものです。
パーソナリティテストは個人の性格を客観的に測定して明らかにできる手法であるのに対し、コンピテンシーテストというものは他人からは見えにくい、本人も気づいていないといった潜在能力なども含めたものが診断できるといわれています。
そして、適性テストは特定の職種に限定することなく社会人や職業人としての一般適性を図る問題から、事務職や営業職、研究職など特定の職種に限定されたテストまで幅広くあり、職務との関連づけがなされた問題が用意されます。
適性テストの場合、一般的には知的能力や性格、パーソナリティなどの総合的な側面を図れる問題で構成され、組織適性や職業適性、ストレス耐性などあらゆる側面を総合的に判断できるものが少なくありません。
適性検査における問題と限界
このように適性検査といっても様々なタイプや多彩な問題で構成されています。
一連の問題や問題群を実施することで、性格や能力、適性が診断できるので、時間がないからと一部だけ実施しても基本的には意味がありません。
もっとも、多彩な適性検査のなかから、時間をかけてどれを実施するかを選ぶことが企業側に求められます。
そのため、検査を実施する目的の明確化を図るとともに、人材採用や人事配置などを行う際には求める人材像を明確化し、その人材をピックアップできる適性検査を採用することが必要になるでしょう。
もっとも、求める人材像を明確化して、それにふさわしい適性検査を選んで実施すれば、自動的かつ機械的に適切な人材が採用できるのだと信頼し過ぎてはいけません。
適性検査はあくまで採用面接の補助資料や、人材配置における1つの判断資料として位置付けるべきものだからです。
たとえば、能力や応用力や専門力をはじめ、人柄や性格、個性や価値観、志向ややる気などは適性検査で測定できる範囲内といわれています。
一方で、忍耐力や創造性、洞察力や機転が利くなどの面については心理学の側面から分析、開発された専門的な問題を利用することが求められるとともに、やはり検査だけでは分からない部分もあることを心得ておきましょう。
適性検査は完全無欠ではなく、図れる範囲や限界があることを理解したうえで、適切に用いることが大切です。
絶対的な尺度として用いるのではなく、面接などの選考と並行して用いるようにするとよいでしょう。