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自衛隊ではどんな適性検査が行われているのか

ジャンル別の職種や職域ごとに適性が分かれる

自衛隊と言っても大きく分けて陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊があり、さらに様々な職種や職域があります。
身体を動かす仕事はもちろん、戦車や艦艇、航空機などの最新装備を研究・開発する仕事や事務や会計などの業務まで様々です。

いずれにおいても、自衛隊員に求められる一番の特徴は自己完結性です。
自己完結性というのは、どんな状況になったとしても、全てを自分たちで何とかして活動を行うことができ、目的や業務を完遂させるという能力になります。
与えられた業務を貫徹させるために食料や燃料の確保とはじめ、移動ルートの確保、土木・電気・通信などのインフラの整備など、あらゆる活動ができる能力やノウハウを有した集団になります。

つまり、自衛隊には幅広い方にチャンスがあり、自分が得意な分野の仕事に携われるチャンスが詰まっているのです。
適性診断はその人にどんな職種や業務が向いているのかを確かめる判断材料でもあります。

意外にも体力診断はない

自衛官と言うと体力勝負で筋肉隆々のたくましい身体がないと務まらないなどと思っていませんか。
適性検査の一環として、基準が厳しい体力審査があると思っている方も少なくありません。

ですが、実は自衛官になるための試験種目には体力審査は入っていません。
自衛官として勤務する上で健康であるかを確認するための身体検査があるだけで、トラックを走らされたり、腕立て伏せをさせられたりといった体力測定などはないのが実際のところです。

どうしてかと言うと、最初から体力に自信がある人ばかりを求めているわけではなく、自衛官として活躍したいと考えている方に広く門戸を開いているのです。
体力は入隊後の訓練を通じて少しずつ備えていけばいいというのが、基本方針です。
入隊後の教育期間中に基礎体力をつけ、食事面をはじめ、健康管理や安全管理などに配慮しながら、それぞれの隊員の体力に合わせて段階的に行っていく環境が整えられています。

健康であり、意欲的な方であれば、たとえ、運動が苦手なことや、体力に自信がないという方が入隊されても、徐々に体力がつき、いっそう身体もたくましくより健康体を手に入れられることでしょう。

自己完結能力と共に求められる能力

自衛隊では体力は徐々につけていけばいいという方針ですが、自衛隊員としての適性として自己完結能力とそして集団生活における団体行動力や規律を守る真面目な性格などが求められます。
最初の寮生活においては規律正しい生活が徹底され、同じ部屋の同期とお互いに協力し助け合い、支え合いながら生活していくことが求められます。

団体生活をスムーズに成し遂げ、お互いの仲間意識が高められる能力を正確面でも有しているかを適性検査によって診断されます。
自衛隊のトレーニング中は私語厳禁、笑顔もご法度という厳しい世界ですので、ルールをしっかり守り、規律正しく真摯に業務に取り組める性格が求められています。

採用されている検査の一例

自衛隊の適性検査に採用されている検査方式の1つに、日本で60年以上の歴史を持つ内田クレペリン検査があると言われています。
この点、一般的な適性検査では知能と性格を測定するために2つ以上の検査を組み合わせて実施する必要があります。

ですが、内田クレベリン検査では、人が行動するときの能力と能力を発揮するときの特徴の2つを1つの検査でまとめて測定できるのが大きな特徴です。
能力面の特徴は知能との相関が高いことから、受検者が与えられた作業をどれだけ早く処理するか、どれほど効率よく作業がこなせるかを表しています。
性格や行動面の特徴は性格やパーソナリティを形成する大きな要素であり、これらの2つを一気に診断ができるのです。
検査方法もとても特徴的で、簡単な1桁の足し算を1分ごとに行を変えながら、間に休憩を挟んで、前半と後半の各15分間ずつ合計30分間行う方式になっています。

全体の計算量をその人がこなせた作業量ととらえ、1分ごとの計算量の変化の仕方を表す作業曲線と回答の間違いの量から、受検者の能力面と性格や行動面の特徴を総合的に測定することができます。
課題や設問に答えるスタイルの検査ではないため、受検者が意図的に結果を操作しにい特徴を持ち、多くの企業や学校でも採用されている検査の1つです。

内田クレペリン検査では性格・行動面の特徴を物事への取り掛かりという発動性、物事を進めていく上での気分や行動の変化の大小を現す可変性、物事を進めていく上での勢いの強弱である亢進性の評価ができるので、まさに自衛隊員に求められる自己完結能力の診断にマッチすると言えるでしょう。