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部下のモチベーションを上げる人事評価とその例文

人事評価は批判や否定のツールではない

上司から部下に対する人事評価をする際、中には能力の低い社員や活躍できていない社員を批判したり、責める絶好の機会だと勘違いされたりする方もいるかもしれません。
ですが、人事評価は評価対象者のマイナス面を暴き出し、否定的に批評するための制度ではありません。
長きにわたって続いていく職業人生や、その会社や組織における人生の中で、常に目標や課題を持って取り組み、モチベーションを高く維持し続けるとともに、本人のキャリア形成を後押しするための制度といます。

そのため、目標の達成や課題の解決を成し遂げた社員に対しては適正な評価を与えて、達成したことを評価するとともに、そこで歩みを止めずにさらに成長を遂げていけるよう、モチベーションを高めるようなコメントを与えなければいけません。
一方、目標未達成、課題が解決できていない、成績が残せていないといった社員やモチベーションが低下していると見られる社員に対しては、それを批判したり、執ように責め立てたりするのではなく、いかにモチベーションを高めて、仕事に真剣に向き合えるようにできるかの見地からコメントを用意することが望まれます。

人事評価の基本ポイント

人事評価を行う上では各人が設定した目標や課題、各人の自己評価やアピール内容などを踏まえて、それに応える形でのコメントを与えることがポイントになります。
各人が頑張った成果やアピールしている点を全く無視して、個人としての感情や今期の活動で目だったマイナス面などを取りざたして評価を与えれば、相手は自分をきちんと見てくれていない、頑張った点は評価されないと意気消沈し、モチベーションもより低下してしまうからです。

社員や部下どうしを比較して出来の良い悪いを判断したり、社員どうしを競わせようとしたりするのではなく、一人ひとりの人材を育成するという中長期的な視点を持って、一人ひとりと真剣に向き合うことがポイントです。
そのためには評価のときだけでなく、日頃から部下の活動を確認することや、日報などにもしっかり目を通し、各人の活躍、チームでの活躍などを一人ひとり丁寧に見据えておくことが大切になるでしょう。

職種ごとのよくある人事評価の例文

人事評価は業種や職種によっても、組織の設定目標や各人の目標が異なり、評価すべきポイントも異なってきます。
ここでは職種ごとに分けて、人事評価の一般的な例文をご紹介します。

まず、目標が明確に数値化しやすく評価も比較的しやすい営業職の場合です。

「売り上げ目標には届かなかったものの、業界全体が低迷している中、前期比10%アップは評価に値する。
営業成績を残し目標を達するためには新規顧客の開拓を中心に活動しがちであるところ、既存顧客の丁寧なフォローを行い取引先からの信頼を得た点は評価される。
既存顧客の紹介を通じて契約に至った例が三件あり、日頃からの顧客対応が新規の成果にも繋がったのは取り組み方としても手本になるものである。
なお、温厚な人柄で顧客の信頼を勝ち得ている点は評価できるものの、強気な姿勢がとれず、条件交渉で成果が出せていない点が1つの弱みといよう。
この点を打開できれば売り上げ目標の達成も期待できるため、弱点克服を期待したい。」

営業職の場合、数値を具体的に挙げて明確にすることも大切です。
また、目標達成ができていないときも良かった面を探すとともに、課題や弱点を指摘し、さらに成長を期待する旨のコメントがよくある例文です。
事務職の場合は目標や成果が見にくい部分があるため、日頃からの業務への取り組み方を見るほか、業務の効率化や改善に貢献したかなどをチェックしておくといいでしょう。

「業務効率化や経費削減という目標を掲げ、各支店の事務担当者との連携体制を整えたことは多いに評価される。
これまで各店で行ってきた事務作業や消耗品の仕入れを統括したことで、作業効率のアップ、仕入れ費用のカットに貢献してくれた。
連携をとって行く上で現場の営業職員からの批判を受けたと反省をしているが、今回の目標達成プロジェクトにあたって現場の声を確認することができ、事務部門と現場部門との温度差や連携不足などを知れたのは良い経験だった。
この経験を無駄にせず、他部署や他職種とのコミュニケーションを図って、良い組織作りを目指してもらいたい。」

それぞれの会社、業種、職種でその都度、設定される目標や課題は異なりますが、評価機関の活動や活躍、成果をしっかり把握してコメントするとともに、次期に繋がる課題の提案やモチベーションアップを図るコメントが求められます。