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人事評価のコメントは上司と部下の理解度を深める機会

人事評価のコメントは上司と部下の理解度を深める機会

人事評価制度における上司と部下とのコミュニケーション

人事評価制度においては、各企業における組織目標、部署や職種ごとの目標設定と従業員各人の目標を設定し、年度の締めくくりなどにその目標を達成できたかの自己採点と上司の評価が行われる方式が浸透しています。

5段階程度のレベルで採点をする方式が一般的ですが、単に点数で評価するのでなく、コメント欄も大きな役割を果たします。
コメントは従業員各人がなぜ、その採点をしたのかや、目標達成できた際のプロセスや評価点、今後に向けた改善点などを自由に記入します。
また、達成ができなかった際にはその理由や反省点、どうすれば良かったのかなどを記入してもらいます。
提出を受けた上司はその内容を読んで採点を下すだけでなく、レビューやアドバイスを記入するようにしましょう。

目標を達成できなかった場合の具体的なアドバイスや、あきらめずに取り組むためのモチベーションアップを兼ねたメッセージを書き添えるといいかもしれません。
一方、目標を達成できた場合はそれを評価するメッセージとともに、それで満足せず、次に向けてどのような目標を持てばいいかのアドバイスや、チャレンジしてほしい点や改善してほしい点などを具体的に記入し、以降に向けたモチベーションアップにつながるようにしたいものです。

メッセージをやり取りする有効性と役割

人事評価を通じて、お互いの理解を深め合うきっかけに

業務が忙しく、抱えている部下の数が多い部署などでは、上司が部下の一人一人を日々ケアできないケースや、なかなか1対1でコミュニケーションが図れないことも少なくありません。
定期的な人事評価の実施で、ただ形式的に数値で採点、評価するだけでなく、コメント欄を通じて具体的なやり取りをすることで、部下が悩んでいることや抱えている課題、考え方などを把握することができます。

一方の部下は上司からメッセージやアドバイスを受け取ることで、お互いの理解を深められて安心感が生まれ、一人一人の行動と成果を上司が見てくれることが分かってモチベーションがアップしたり、目標達成に向けて努力したりするようになります。
他の同僚や先輩の目を気にすることなく、紙面を通じてとはいえ、1対1で話ができる機会となり、日頃抱えている問題や自分のキャリアについてコミュニケーションが図れる重要な機会といえるのではないでしょうか。

人事評価というと冷徹なイメージや、部下に対するプレッシャーを与えるイメージが持たれがちですが、実はお互いの理解を深め合い、個々人が目標を達成することで部署の実績が高まり、ひいては企業の業績アップや収益拡大へとつながる企業運営にとって重要な役割を果たす制度といえるのです。

どのような内容がやり取りされるのか

では、コメント欄では具体的にどのようなやり取りがなされているのでしょうか。
たとえば、営業職やコストマネジメントをしている財務部門などの場合には、成果を数値で定量化できるため、日頃から逐一、部下の仕事ぶりを見ることが難しくても、目標達成をしたかどうかは後追いでも確認しやすいものです。

一方で、受付業務や販売などを伴わない接客業、ルーティーンワークが多い事務など数値化や定量化が難しい業務に従事している場合、目標を達成できたかどうかが分かりにくく、自己採点をする部下と上司の評価の間で齟齬が生じやすくなります。
こうした評価の乖離を回避するためには状態条件が利用されます。
これは、この状態であれば目標を達成したとみなせる条件を指しており、部下が状態条件を具体的にコメント欄に示すことで、上司が状態を把握しやすくなり、その状態でよく頑張ったとか、その状態ならもう少しやれたはずだと評価しやすくなります。
期初に設定した目標を達成できた場合には、その結果だけでなく、それによって自分自身がどう成長できたかを書くと上司も評価がしやすくなります。

毎期、目標を順調にクリアしている方も、それだけではもともと自分で掲げている目標のハードルが低すぎるのではと上司の評価が低くなってしまう可能性がありますが、前年度どう変わったのか、どう成長したのかを比較して記入することで、そんな成果が得られたのかとプラス評価が与えられるかもしれません。
一方で、目標を達成できなかった場合には、どのような状況が重なって、こういう風に努力したけれどできなかったことを具体的に書きます。
もちろん、言い訳ではなく、自分の努力が足りなかったというよりは、環境の変化が支障となったなどと分かれば、上司も納得しやすくなるものです。