HRニュース 事務局からのお知らせ

人事評価における項目は誰もが分かりやすく全体を網羅して漏れがないこと

人事評価における項目は誰もが分かりやすく全体を網羅して漏れがないこと

評価の項目のポイント

人事評価を行う際にはシートを使って自己評価や採点と、それに対する上司の評価と採点をもとに実施する企業が増えています。
もっとも、どんな項目を設けるかが大変重要になります。
というのは、人事評価の項目は単に従業員各人の昇格や昇給、目先のボーナスの金額を決定するための手段ではなく、企業理念やビジョンを共有し、企業が抱えている課題を理解し、それをクリアするための目標設定を行い、短期的に目標を達成しながら、それが企業全体の業績アップや収益アップ、継続的な安定成長へとつながっていく基盤になるためです。

そのためには、人事評価に必要となる項目は各業務や職種に必要とされる能力の傾向と特性を的確に表すとともに、ビジネスシーンにおける行動目標を網羅できるものである必要があります。
そのうえで誰にでも分かりやすい表現であることが必要で、その人によって受け止め方が違ってしまい、誤った採点や評価、目標設定などミスリードを招かないようにしなければなりません。
さらに、各項目はそれぞれが重複することなく、かつ、全体集合として漏れがないように設計されることがポイントといえるでしょう。

構成の仕方

人事評価は役割によってパターンを分けるのがポイント

構成の仕方としては全社共通目標のパターン、営業関連職種向けや企画・クリエイティブ職種向け、そして、管理関連職種向けと役職向けなどを用意します。
一般職と管理職、役員でパターンが分かれるのは理解できると思いますが、営業職系と事務系や企画やクリエイティブ系でも分けることがポイントになります。
というのは、営業職は契約件数や売上高など目標も立てやすく数値から成果も分かりやすいのに対して、総務部では数値目標だけでは判断がしにくいなどの業務や成果の現れ方の違いがあるからです。

全社共通目標の良くあるパターン

全社で共通して使える目標としては、自己成熟性に関する目標設定と、変化行動や意思決定に関する目標を設定するといいでしょう。

自己成熟性とは感情に動かされない冷静さや、仕事や他人に対する誠実さ、物事遂行における几帳面さや、常にメリットやデメリットを考えて注意深く行動する慎重さ、一度決めたことを途中で投げ出さず、何度でも繰り返して行う一貫性や徹底性があるか、自分の考えを包み隠さずに表明する率直性があるか、落ち込んでばかりいないで素早く立ち直れるストレス耐性が備わっているかや、自分について正確に理解して対処できる自己理解性、他人に対する思いやり、ビジネスマナーなどが挙げられます。

変化行動や意思決定では自らが立てた目的や規範に従って行動する、失敗を恐れずに可能性のあることにチャレンジするリスクテイク、状況の変化に応じて臨機応変に対処できる柔軟性や自己の足りない部分や知識・技能を積極的に摂り入れる自己啓発性、常に高い目標や斬新なテーマに向けて果敢に取り組むチャレンジ性などを網羅するといいでしょう。
また、上司や先輩との関係性、チームワーク力、リーダーシップや統率力、ムードメーカー性などの組織に関わる目標も設定します。

近年のスピードが加速している情報社会においては、情報の収集力、整理力、伝達力、活用力と共有化、情報の発信力なども求められます。

職種や役職ごとのパターン

営業系や接客系の目標設定としては第一印象度やプレゼンテーション力、傾聴力、条件交渉力、新規開拓力、顧客維持力や顧客拡大力などを企画・クリエイティブ系の職種では、視点の広さと深さやアイディア思考力、論理的思考力、状況分析力や解決策の立案力、リスク管理力、経営資源の活用力などを目標として設定するといいでしょう。
財務や管理系ではコスト意識や計画性、安定運用力や業務改善力、業務企画力を、管理職向けには部下や後輩の指導や育成力、権限の委譲力や配慮できる能力と公平さに後継者の育成ができる力、理念や方針の共有と経営への参画力、コミュニケーションの充実力、指揮や命令系統の徹底力、人材を見出せる採用力や抜擢力、目標の管理と評価できる能力、トラブル処理力や部署をまとめる能力などが評価しやすい設計にしましょう。

設計が大きな影響を与える

従業員各人が提示された目標とされる能力や目的に対して、どのように行動し採点を下すか、そしてそれをいかに組織の拡大や企業の業績アップにつながるかは、どのような項目を設けるのか、その設計が重要になります。
企業理念や企業が目指している目標を明確化、共有できない内容ではいかに評価をしても自己満足や企業満足にしか過ぎなくなるため、注意が必要です。