今の企業に必要なメンタルヘルス
企業において、中長期的に組織に貢献し得る人材を育成することはとても重要な項目です。
これに成功している企業の多くは組織の永続的な成長力を有していますから、個人の成長が組織の成長と深く関連していることは疑いようはありません。
ただ、いかにしてモチベーション高く、常に成長し続けられる組織人を作れるかに注力する企業は多いですが、一方で個人の達成感や快適性が見落とされるケースも少なくありません。
この歪が近年、組織にとって大きなクラックに成長しつつあります。
政府は、平成25年に掲げた第12次労働災害防止計画で、平成29年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業所を8割以上とする目標を打ち出しました。
しかしてすでにそのときは過ぎましたが、現場において果たして実感の伴う変化は起こったのか、自社の状況を冷静に分析する必要がありそうです。
メンタルヘルスを損ないやすい職場の傾向とは
メンタルヘルスを損なう従業員が多く見られる職場の特徴は、まず第一にストレス要因の多さが挙げられます。
何か目立つ大きな要因があるというわけではなく、些細な要因が複雑に絡み合ってメンタルダウンに繋がる傾向が強いと言われています。
一番関連しやすいのが残業時間・労働時間の長さで、忙しく心身の疲労がたまりやすい職場では、メンタルダウンが起こりやすくなります。
精神的余裕がなくなりコミュニケーションを欠いたり、業務効率が下がったりする傾向もありますので、結局企業にとってもマイナスでしかありません。
こうした就労体系に関するもののほかには、組織においての上下関係を主軸とする人間関係、待遇やキャリアアップなど自己に対する評価に関するものが挙げられます。
これらをベースとして、さらにはプライベート環境でのストレス要因なども関連し、メンタルダウンが起こるケースが増えています。
ただ、要因となるのは必ずしも悪い事象だけとは限らず、昇進や子供の誕生など、一般的には祝うべき事象である場合も少なくありません。
また、本人がどう考えるか、アイデンティティによっても同じ事象が著しく違った結果を呼び起こす場合もあります。
だからこそ、当人ですら気付いていない心の中を客観的に分析し、自ら整理して理解するプロセスが重要となります。メンタルヘルスカウンセリングの重要性近年は、従業員のメンタルヘルス対策として、専門のカウンセラーを導入する企業も増えて来ました。
メンタルダウンを引き起こしてしまう人の特徴としては、とても責任感が強く、周囲の人を助けたいという強い思いを持っている点が挙げられます。
何事も適当にできず完璧を求める人も多いため、多くのケースで昇格など役職も上がりやすいでしょう。
組織にとっても大切な人材ですが、責務をまっとうするために限界を超えることで、メンタルダウンに繋がる傾向があります。
頼れる人が会社にも家庭にもいないため、辛くても一人で感情を抱え込みやすいのも原因となります。
カウンセラーの存在は、そうした組織を引っ張る立場の人にとって、唯一の相談相手になり得るでしょう。
本人が自分の状態に気付いていないケースも多いですが、産業医などの延長上に専門のカウンセラーがいることで、救いが拓ける場合もあります。
所属感や戦力感を得られる職場、一人で抱え込まずに済む環境がある職場では、メンタルダウンは起こりにくいとされています。
メンタルヘルスカウンセリングによって、社会的欲求・尊厳欲求を満たすことで、心身の健康を保つだけでなく、モチベーションアップにも変えることもできるでしょう。
メンタルヘルスマネジメントを学ぶ時代へ
近年、職場において部下のメンタルヘルス対策にどのようにアプローチすべきか、方法論に迷うマネージャーも増えています。
適切なアプローチをすることで、組織内のストレスを低下し、生産性を上げるマネジメント力が求められる時代になっています。
メンタルヘルスの問題に直面したとき、どうすれば良いのか分からないのは当人ばかりではありません。
世界的にもストレス対処プログラムなどが開発されていますが、マネジメントする側も定期的に研修やレクチャーを受け、実践的なケアを学ぶ必要があるでしょう。
カウンセリングを行っている組織の中には、こうした研修プログラムも持っているところがあります。
人材開発部門やマネージャーのスキルアップも含め、一度検討してみても良いでしょう。