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メンタルヘルス法務主任者資格について

メンタルヘルス法務主任者資格とは

メンタルヘルス法務主任者は、職場においてメンタルヘルス不調者や難治性身体疾患の罹患者への適正な対応法、不調者発生の防止に役立つ法務やその他分野の知識を持つ民間資格となります。
講座で関連知識について学びますが、主に企業経営とメンタルヘルスの関係や、精神医学の基礎知識、精神科医とのコミュニケーションの取り方などを実践的に習得することができます。

また、メンタルヘルス法務主任者資格は、2018年度からメンタルヘルス法務主任者・産業保健法務主任者に資格名称が変更されました。
現在は規定の講習を受講し試験に合格すれば、メンタルヘルス法務主任者と産業保健法務主任者という、それまで別々だった資格を両方取得することができます。

資格取得のメリット

メンタルヘルス法務主任者資格を取ると、どんなメリットがあるのか気になるのは当然でしょう。
一番は、メンタルヘルスの問題を具体的に解決できるスキルが身につくことです。

現代は、メンタルヘルスに関する問題を適切に対応できる人材が圧倒的に不足していると言われます。
組織にとっては法務的な観点も必要となるため、非常に難しい問題です。
実際プロフェッショナルになるには、法務以外にも精神医学、産業保健学、産業カウンセリングの知識などが必要ですが、会社組織であれば企業経営に関する知識も必要です。

そのため資格講座などでは多数の分野から講師陣を集め、実践的な知識とスキルを習得できるようカリキュラムが組まれているのが一般的です。

社会化しつつあるメンタルヘルス問題

これからの組織に必要なのは、メンタルヘルス不調者に対する適切な対応だけでなく、そもそも不調者を出さないためのメンタルケア法です。
後輩や部下を持つ上司は、チームで成果を挙げることに必死になるあまり、部下へのメンタルケアがおろそかになることが多々あります。

現在日本ではメンタルヘルスに不調を抱える従業員が業界を問わず増加傾向にあり、人間関係に歪を生み、結果的に業務効率の低下を招くケースが増えています。
難しいのは上司側の対応で、部下に対してなんとか奮起させる言動をしたいと思いながらも、語気を荒げたり叱責したりして、ミスコミュニケーションが生まれています。
言葉によってはパワハラになってしまうので、毎日モヤモヤを抱えている管理職者も多いでしょう。

実際、企業に健康問題について困っている点を聞くと、ほとんどが生活習慣病やがん就労などではなく、メンタルヘルスだと答えると言います。
これは老舗の大手企業でもベンチャー企業でも規模を問わず同じことで、厚生労働省の統計でも、メンタルヘルスに問題を抱えている従業員を持つ企業は50%を超える割合となっています。

専門医療との間をつなぐ立ち位置

前述のような傾向は、ここ10~20年あまり悪化の一途をたどっています。
これだけメンタルヘルスの問題が顕在化しているにも関わらず、まだ一般的には心の不調を感じた時に、精神科を受診するハードルが高いと感じている人が多く存在します。

とりあえず我慢していればそのうち改善する、歯を食いしばっていれば状況は変わると言い聞かせながら耐えるだけでは、事態は悪化する一方です。
そんな黄信号が点灯している従業員に対し、精神科に行く前段階で適切に寄り添える存在が、企業のメンタルヘルス法務主任者と言えるでしょう。

管理職と一般職との間、企業と医療機関との間に立ち、双方に極力ダメージのない形で軟着陸するのがスキルです。
厚生労働省の労働者健康状況調査によると、ストレスの原因には職場の人間関係・仕事量・質が常にワースト3となっています。

特に新入社員や若手社員の環境への不適応が問題となることが多く、年上世代とコミュニケーションを上手く取れないことが大きなストレスになっていると言われます。
世代による価値観のギャップが生まれるのは致し方ないことですが、現場をスムーズに回すためには、専門スキルを持つ通訳とも言える存在が必要なのかもしれません。

法務の視点を導入しているのがポイント

これまでにもメンタルヘルス関連の資格としては、産業カウンセラーや臨床心理士、メンタルヘルス・マネジメント検定などが存在しています。
ただ、これらの中にはメンタルヘルスに関する法務をカバーする資格が存在しないため、メンタルヘルス法務主任者という資格が生まれました。
産業医や心理分野の専門家は、法律面で精通しているとは限りません。

ところが企業としてはメンタルヘルスの不調を訴える従業員に対して、法務や労務の観点で接する必要に迫られます。
こうしたことから、企業の組織運営や人事労務管理を知り、福祉や産業保健を総合的にカバーする人材の必要性が浮かび上がってきました。
メンタルヘルス法務主任者資格制度は民間資格ですが、精神科教授や弁護士、コンサルタントなど各分野の専門家が講師となり、労働関連法規と精神疾患とを両方の視点から学ぶことができます。
実務について理解を深めることができる内容になっていますので、企業にとって有意義なメンタルヘルスサポートを学べるでしょう。