HRニュース 事務局からのお知らせ

ヴェールに包まれた国税専門官の採用面接の実態

公務員ほど知られていない国税専門官

国税専門官採用試験は、公務員試験などに比べると実態があまりよく知られていません。
試験に通り内定を目指す先は国税局です。

国税局は管轄エリアによって局が変わりますので、たとえ同じ都道府県内であっても配属先によって勤務地から何からすべてが異なります。
この感覚が著しく他の組織とは異なる点で、局の違いは組織そのものの違いとなるため、採用も人事も完全に独立しているのが特徴でしょう。

部門は法人課税、個人課税、徴収、資産課税などに分かれており、3年を目安に税務署間を異動するものの部署異動ではないため、専門性を磨いていける職種です。
逆に、一度働き出したら他局に簡単に異動することは出来ないと言われています。

採用試験は1次・2次・採用面接

試験の流れは1次、2次試験を経て、最終合格発表の直後に合格者のみ採用面接が行われます。
ただし、国家一般職よりも面接に大きく点が割かれているため、実は試験より面接対策のほうを重視しなければなりません。
試験に最終合格しても、採用面接を受けなければ内定はもらえません。
試験がだめでも面接で逆転劇が起こる場合もあり、逆に言えば試験結果が優秀でも面接がだめなら逆転されてしまう場合もあります。
しかも2次試験の段階で、面接カードと一緒に希望採用局を第6志望まで提出しなければならないので、事前に調査と対策が必須です。

なぜなら採用希望局によっては倍率が大きく異なり、人気が集中すると20倍以上の競争率になる場合もあるからです。
当然、何がなんでも合格を目指すなら、倍率が低い局を調べてそこを第一志望にするという手段もあります。
とは言っても、どの局も優秀な人材が欲しいのは当然なので、試験の成績が良い人のほうが立ち回りが有利になるのは間違いないでしょう。

「なぜ」が執拗に問われる採用面接

国税専門官試験がヴェールに包まれたように情報が不明確なのは、独特な基準を持つ採用面接が鍵を握るためです。
一般の公務員試験なら、成績優秀者であればほぼ問題ないという前提の元、面接は単に人となりや働く意思の確認となるケースも少なくありません。

ところが国税専門官の場合、基本的に責任者と1:1の腰を据えた面談となり、なぜ国税専門官として働きたいのか、本気で人生をかける意思があるのかといった重い内容が問われます。
特に面接官が執拗に聞いてくるのは、どうして、なぜ、といった動機です。
なぜ国税専門官試験を受けようと思ったのか、これは一般的な求職者の志望動機を聞くのとは意味合いが異なります。
普通に考えて、一般生活者が国税専門官として働こうと考えることはまずなく、特に若い学生が進んで受けたいと考えるような試験ではないからです。

そもそも学生の中には、国税専門官という仕事さえ知らない人も多いでしょう。
公務員を目指す中で存在を知ることはあるでしょうが、進んで一般的ではない道を目指す切っ掛けは大きな疑問になるからです。
当然、面接官も興味本位で聞くわけではないので、質問に対する答えから、仕事に対する理解や使命、本気度を測っています。
単に公務員の併願先として受験しただけでは、到底務まる仕事ではないというのも理由でしょう。

面接試験はこう対策しよう

前述のような動機を問う質問は、面接中、あらゆる方法で角度を変えて何度も聞かれるものと覚悟しておきましょう。
直接的な聞き方ではない場合もあります。
同じことの繰り返しであっても、その都度ひとつひとつ丁寧に、相手が納得できる回答が必要です。
恰好をつける必要はなく、国税専門官の仕事も使命も正しく理解しているということ、その上で本気で働きたいと考えていることを真摯に伝えましょう。

基本的に、税は国を正常に機能させるために正確に徴収されるべきであり、税金を正しく扱うために国税専門官は必要だというのが原則です。
ただ、マニュアル通りの回答ではすぐに分かりますし信用も生まれませんので、税金や国の税収に関する体感エピソードなどがあれば説得力が増すでしょう。
税の必要性を身近に感じた時のエピソードは、誰しもあるはずです。
普段は気づかなくても、税金で運営されている生活を支えるシステムはたくさんあります。
まったく意識していなかった税金によって、自分は助けられたことがある、税は国民を助けるのだと実感したような内容であれば、説得力が生まれる一つの要素になるでしょう。

ただし、妄信的でも務まらない職種ですので、冷静な客観性は必須です。
組織の一員として職務を果たすためには、自己中心的な独りよがりでは困りますので、熱く語りすぎるのもマイナスです。
面接官の意図をきちんとくむこと、自分の置かれた立場に対して客観視できることは大切です。
その上で信頼性があり、しっかり責任を持って仕事をしてくれそうな人材、社会に出て人と円滑にコミュニケーションを取れる明るい人材であればまさに理想的です。