企業が抱える最近の就職事情
新卒をはじめ、第二新卒や中途採用の場合でも、募集や採用にかかるコストを払って採用し、仕事がまだ一人ではできず、研修段階であってもお給料も払っているというのに、研修中に辞めてしまったり、配属後直ぐに辞めてしまうというケースが最近増えています。
真面目そうに思えたのに遅刻ばかりしてくる、面接ではやる気満々な回答だったのに仕事ができない、努力しないなど採用後に色々と問題が出てくるケースも少なくありません。
確かに世の中には有能な人材ばかりではなく、そのために人材育成の体制なども整えているわけですが、そもそも職業適性がない、人とのコミュニケーションがとれない、最低限の事務処理能力や業務遂行力がないとなってくると、育てる企業も大変です。
やはり、企業ごとに業種や職種が異なり、求める人材のカラーや素質なども異なっていますから、求める人材に見合った人材を採用したいものです。
また、同じような性格や能力を持った方だけでも偏った構成になってしまうので、人材のバランスも求められます。
それぞれの人材の強みや弱みをお互いに補い合い、生かしながら組織としての成長を遂げていくことが必要になってくるからです。
書類選考や面接官では限界がある
多数の応募者がいる中で書類に書かれた採用されたい本人のアピール内容を観たり、学校で学んできたことや職歴を見ただけでは、本当に能力があるかは分かりません。
また、どんな経験豊富の面接官であっても、初めて会う人物をわずかな時間だけで本質を見抜くのは難しく、本当のところを知るのはせいぜい50%が限界といわれています。
そこで、適性検査を実施することで、面接官の経験則に基づいた主観的な判断に加えて、適正検査による客観的な分析で応募者の能力や性格、価値観や行動パターンなども判断材料に加えることができます。
これによって、よりその企業に向いていて、長く根付いてくれる人材や、ポテンシャルの高い将来性のある人材を見極めて採用することができるようになるのです。
適性検査を上手く活用することで、採用の失敗による人件費や時間のロスを軽減することが期待されます。
気軽にできる適性検査
かつての適性検査はマークシート方式や記述式で、結果を採点したり分析するのにやや手間がかかった時代もありました。
ですが、今どきの適性検査はパソコン画面で気軽にでき、データ分析や結果を出すのも一瞬で可能です。
応募先の企業の会議室などにパソコンを設置して、プログラムを使って行うこともできますし、適性検査を専門的に行っている外部の企業にアウトソーシングをして、応募者に個々に会場に行ってもらって設置されたパソコンで受けてもらうこともできるようになっています。
適性検査で分かること
適性検査にも様々なタイプがあり、アウトソーシングできる専門会社が独自に開発も進められています。
主な目的として応募者に優劣をつけるというよりは、それぞれの長所と短所をデータ化して数値で分かりやすく分析して、一目でどんな強みがある人物か、どんな性格の持ち主かが分かるようになっています。
モチベーションの高さや責任感の強さ、自主的に行動できる、リーダーシップ脳力に長けているといったタイプ診断もできます。
一方で、協調性が低い、攻撃的で敵を作りやすいタイプ、問題を抱え込みやすいタイプ、神経質なタイプやストレスを感じやすいタイプなども分かるので、採用した際のトラブルの予測もしやすくなるのも便利です。
どんな目的で使われているのか
就活中の学生さんの中には適性検査でよい点数をとりたい、レベルを上げたいなどと事前に問題集や攻略本などを使って勉強する方も少なくありません。
もっとも、単に高いスコアの数値を出せば採用されるかというと、そうではありません。
企業組織にはバランスも重要なので、同じ方向の人ばかりでなく、バランスのとれた採用が目指されているからです。
たとえば、リーダーシップ力の高い人ばかりを集めても、組織としては上手く行きません。
リーダーに従ってコツコツと業務遂行能力にたけた素直で勤勉なタイプの人や、協調性に優れた人材も必要だからです。
また、業務内容や職種が幅広い会社であれば、それぞれに適した人材を求めています。
営業職にはフットワークが軽く、明るくて積極性がある人材を、事務職にはおとなしくても真面目で集中力がある人材をなど、それぞれの適性を見極めていくので、点数うんぬんよりも、応募企業がどのような人材を求めているのかを知ることが大切かもしれません