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現代社会における企業に求められる健康管理とは

体だけでなく心のケアも必要

現代社会は様々なことが目まぐるしく動いており、その速さについていくので精一杯という人もたくさんいます。
能力のある人でも、とき疲れがたまって仕事の効率が落ちたり、通常のペースで仕事をしていれば大丈夫という人も、何か気がかりなことがあったりすると仕事に集中できなくなります。
社員を取り巻く環境も大きく変わり、終身雇用制が崩壊した今は能力主義に取って代わられています。

企業の方針も月給制ではなく時間給制にするなど、できるだけ人件費を抑えて利益を増やそうとしていることから、働く人たちのストレス要素が多くなりました。
そのため、仕事における過労はもちろん、心の不調に悩む人が急増しています。
そこで、企業に対してメンタルヘルス対策を行うよう、国が喫緊の課題として指導しているほどです。

健康診断とは違う健康管理

国は企業に対して、年に一度は必ず従業員すべてに対して健康診断を行い、その結果を把握する義務を課しています。
さらに近年、心を病む人が増えていることから、健康診断とは別の健康管理も行う必要性があると考えるようになりました。
いわゆる心の健康管理ということで、メンタルヘルスと呼ばれています。

メンタルヘルスは誰もが持っている心の健康を指していることから、特定の精神疾患を患う人を対象にしているわけではなく、すべての人が対象になります。
物事に対するとらえ方や考え方は人それぞれで大きな差があり、ちょっとしたことでは気にしない人もいれば、ほんの些細なミスを重大な過失のように感じて受け止めてしまう人もいます。
性格や考え方の違いといえばそれまでですが、よりメンタルヘルスの必要性が高いのはやはり後者です。
前者に関しては、自分は特に気にならないこともあって、深刻に受け止めがちな人から見ると無神経に感じられる行動をとることがしばしばあります。
本人には自覚がないため、無神経な行動に対する自覚を促すよう求める必要があるでしょう。

ただ、何が無神経なのかという判断もまた、難しいところです。
体に対する健康診断は全員一律で同じ検査で済みますが、メンタルヘルスは人によって合う合わないを見極めて行わなければならないため、かなり困難であるのが事実といえます。

メンタルヘルスにおけるラインケアとは

メンタルヘルスを考える際に、ラインケアという言葉が出てきます。
ラインケアとは企業における職場のメンタルヘルスにおいて、課長以上の役職にある管理監督者が部下に対し、必要に応じて個別に相談に乗ったり、指導を行ったりすることを意味します。
ラインケアの取り組みでもっとも難しい点は、先に挙げたように物事に対する感じ方は人それぞれ違うということです。

そのため、日頃から部下をよく観察し、どういう性格や考え方をするかなどをしっかり把握することが、管理監督者には求められます。
部下の様子から、いつもと違うと感じることや、どうもストレスを抱えているようだということになれば、速やかにラインケアを行わなければならないと考えておくのがいいでしょう。

ラインケアの進め方

ラインケアは部下を持つ管理監督者が行うことですので、当然職場には何人かの配属社員がいると思われます。
職場である人物に対してだけハラスメントが行われているということがわかった場合、管理監督者が職場におけるいかなるハラスメントも許さないとはっきりさせることや、もしハラスメントを行っているとわかった場合は評価の見直しなどを行う考えがあるといったことを職場に対して通告するのが、最初の取り組みとして効果的です。

このときに気をつけなければならないのは、ハラスメントがすでに起こっているという事実を知っていたとしても、初めの段階ではあくまでもハラスメントがあったらという仮定で話すことです。
これによって、ハラスメントを行っていた社員は、上司に気づかれる前にやめようと考えるでしょう。
職場には様々な種類のハラスメントがありますが、本人が自発的にやめてくれれば、受けていた人物のストレスは軽くなります。
それで職場環境が少しでも改善したら、次なる段階に移ります。

相談できる窓口を作る

会社にハラスメントを受けているといったら、辞めさせられるかもしれないという不安を感じている人は多くいます。
実際、会社に改善を訴えたところ、会社側から圧力をかけられるセカンドハラスメントがあり、新たなストレスを抱え込むことになる人も多いのが現状です。

したがって、企業としては第三者に聞いてもらい、相談できる窓口を作ることも考えた方がいいでしょう。
大きな企業であれば自社に診療所を設け、その医師に相談できる環境を作ることが次なる対策です。
社員からの相談を医師から聞くことで、メンタルヘルスをより効果的に行えるようになれば、ハラスメントの防止と抑止に繋がると思われます。