メンタルヘルスのセミナーの特徴
心の健康を意味するメンタルヘルスを考えて企業がセミナーを実施することが増えていますが、このセミナーの特徴は全社員が一度に受ける受講式タイプよりも、少人数での研修性といったスタイルで行う方が適しているということです。
それというのも、職場には様々な職位の人が存在することから、管理職には管理職のストレスがあり、管理職から指示を受ける一般職員には一般職員特有のストレスが生じるため、どちらも同じメンタルヘルスケアでは改善効果が期待しにくいためです。
そこで、同じ状況に置かれている人たちを少人数のグループに分けるのが効果的ですが、その前にやっておくべきことがあります。
職場において何が一番問題なのかをはっきりさせることが重要
セミナーを行うにあたって何が問題なのかを講師に伝えないことには、メンタルヘルスとはどういうことかという、通り一遍の説明に終わってしまいかねません。
そのため、事前に職場において問題を洗い出し、その問題をどう解決すべきかをセミナーで説いてもらうことが重要です。
現代人の多くがうつ病とまではいかないものの、何らかの精神的負担を感じて心療内科を受診していることからもわかるように、ストレスの多い職場というのは存在します。
そのストレスが仕事内容によるものであれば、業務改善を行うことが先決ですが、何らかのハラスメントが原因でストレスを生じているのであれば、これはメンタルヘルスの分野です。
職場では常に何らかの力の差が生じているものですが、これが行き過ぎてしまった場合にハラスメントとなります。
問題は、受けている方はひどく苦痛に感じているのに、行っている方は気づいていない場合が多々あることです。
わかっていて行っているのは論外で、セミナーのグループ分けはハラスメントを行う側と受ける側で分けることも効果的です。
たいていの場合、力のある管理監督者から一般職員に向けて行われることが多いため、意識の改善を促すセミナー内容となるでしょう。
管理監督者には講師を、社員には医師を
どのようなセミナー内容にすればメンタルヘルスの効果を上げられるかといえば、管理監督者には講師が、社員には医師が適していると考えられます。
管理監督者に講師が向いているのは、ハラスメントを行う可能性が高い人たちだからです。
内容としてはパワーハラスメントを行うことのリスクや、その結果もたらされる事態を理解してもらうように進めるのがいいでしょう。
場合によっては暴行罪で訴えられる可能性や、パワハラに耐え切れずに辞めた社員が、どんなひどい会社かを周りの人たちに話すことが考えられます。
昨今、SNSであっという間に情報が拡散しますので、パワハラを受けて会社に相談したら、さらにセカンドハラスメントを受けたといったことを書き込むと、情報が一気に拡散するのはもちろんのこと、メディアが飛びついてくることもあるかもしれません。
管理監督者という立場にありながら、会社に貢献するどころか大きな損失を招きかねない事態にまで発展することになるという事実を理解させることが、管理監督者に対して行うセミナーには求められます。
一方のパワハラを受けたためにメンタル面に大きなダメージをきたすことが多い一般職員には、メンタルヘルスの解決策を教えてくれる医師によるセミナーが適しているでしょう。
ちょっとしたミスの指摘でさえパワハラと受け止める新人が少なくないことから、注意されることに対してどう受け止めればいいのかといったことや、どのような状態になったらメンタルヘルスに悪影響を及ぼしているかの目安などを医師から話してもらう内容のセミナーにするのがおすすめです。
細かく分類するのが望ましいもの
管理監督者には講師が適しているとはいうものの、管理監督者の中にも上下関係が存在し、ここでもパワハラは起こってきます。
そのため、悩んでいる人とそうでない人に分けるといったことも考えないといけません。
すべての管理監督者にある人がパワハラを行うわけではないですし、管理監督者にある人がより高い職位にある管理監督者からパワハラを受けて悩むこともしばしばです。
管理監督者でもメンタルヘルスケアが求められると判断された場合には、医師によるセミナーの方が適しているといます。
ただ、細かく分類するのが望ましいとはいうものの、分類した結果、明らかにハラスメントを行う人と受ける人に分かれてしまうと、それが職場環境を一層悪くしてしまう可能性があります。
誰がどちら側になるかはわかりませんので、行う側と受ける側の両方のセミナーを一律に受けられるようにすることが、波風を立てずにメンタルヘルスのセミナーを全社員に受けさせる条件になりそうです。